遭難しなくてもリスクはある!「低体温症」を防ぐ3つの対策
雪山などで起きることの多い低体温症は、体温が35度以下になることで体の機能に異常が起きる病気ですが、お年寄りなどは日常生活でも起きる可能性があります。また健康であっても、都会であっても状況によっては引き起こされることがあり、十分に注意が必要です。そこで今回は低体温症を防ぐための対策や、起こりうるリスクについて、詳しくご紹介します。


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低体温症とは?

低体温症とは、体の中心部の体温が35度以下になってしまうことをいいます。通常体の中心の温度は37度程度で、体の外側に行くにつれて体温は下がるため、熱を測る時には36度ぐらいになります。夏など暑い環境にいる時には、体の中心部以外も体温が上がり、冬など気温が下がると、体の中心部の温度を保つために熱が中心に集まり、手足は冷たくなります。ただ、寒い環境に長時間いるなどすると、体の中心も35度以下になってしまいます。これが低体温症です。

低体温症は、事故などによって起きる偶発性低体温症と、病気の合併症によって起きる二次性低体温症の2つに分けられます。

遭難しなくてもリスクはある!「低体温症」を防ぐ3つの対策

低体温症の原因と症状

低体温症は、雪山の遭難で寒さと風で体温が奪われることで起きることが多いのですが、2011年に起こった東日本大震災でも、体が濡れた被災者の間で多く起こりました。こういった事故や偶発的な事態の他、日常生活でも低体温症のリスクは潜んでいます。

低体温症が起きる環境や要因

・住んでいる環境が寒冷である
・お酒や睡眠薬を飲んで寒い場所で寝込んでしまった状況
・脳の怪我や脳血管の障害
・広範囲に火傷を負った場合
・皮膚の病気によるもの
・甲状腺や下垂体、副腎の機能が低下した時やその病気によるもの
・低血糖
・飢餓状態
こういった状況に加え、子供や高齢者は特に低体温症になりやすいので注意が必要です。

低体温症になった時の症状には、3つの段階があります。

35度まで体温が低下した時

体の震えと、皮膚の血管が収縮することで起きる鳥肌などの寒冷反応が起き、酸素が必要となるため呼吸が増加します。意識がはっきりしなくなるといった症状が起こります。

30度まで体温が低下した場合

呼吸が低下し、呼びかけても反応がないといった状態になります。体温が下がり、筋肉の活動も低下して震えが止まり、筋肉が硬直していきます。

28度以下まで体温が低下した場合

指先を針やピンで刺しても全く反応がなくなります。呼吸の停止や不整脈などが起こり、命の危険にさらされている状態です。

体温が35度から33度の低体温の状態であれば、早急な対策により、回復が可能です。

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低体温の区分別の対処の方法

怪我をしている時や、疲労がたまり、栄養が不足している時、また水分不足でも低体温症を引き起こすことがあります。ただしきちんと対処すれば回復させることが可能です。

すぐにできる基本的な処置・軽度の場合

・風や雨、雪が当たる場所から避難する
・温かい屋内に移動する
・濡れた衣服を脱がせ、乾いたものと交換する
・毛布や寝袋で体を覆う
・脇の下や太ももの付け根部分にカイロや湯たんぽ、もしくは温めた濡れタオルをビニール袋に入れたものを使って温める
・添い寝をする
・温かい飲み物を飲ませる

体を温める際、血管を拡張させるアルコール、カフェインが含まれるコーヒーや紅茶は飲ませないようにしましょう。

すぐにできる基本的な処置・軽度の場合

体温が33度以下になる低体温では、体を温めるのはかえって逆効果となり、不整脈を引き起こします。なるべく体を動かさないようにして、脇の下や太ももの付け根に湯たんぽなどをあてます。ただし急激にぬくめると危険なので、注意が必要です。

すぐにできる基本的な処置・重度の場合

体温が30度以下に下がっている場合、呼吸や心拍を確認した上で、人工呼吸や心臓マッサージを行います。心肺蘇生を行えば、特に子供は回復しやすいので、諦めずに続ける必要があります。

呼吸確認をしっかりし、無呼吸の場合や呼吸の回数が少ない場合には人工呼吸を。心臓マッサージをする場合、心拍は1分間に2、3回ということもあるので、心臓マッサージをしながら頸動脈で脈を確認するようにします。

また病気の合併症で低体温症が起きることもありますので、病院で治療の際に対処法も合わせて聞いておくようにしましょう。

高齢者や乳児などの場合、症状が急速に進み、応急手当が間に合わない場合があります。この場合には救急車を要請し、安静にさせて到着を待ちましょう。

遭難しなくてもリスクはある!「低体温症」を防ぐ3つの対策

低体温症を防ぐ対策

登山や寒冷地などで体が冷えた環境におかれることが予想される場合には、低体温症に対して事前に予防や準備が必要です。また高齢者の場合は屋内にいても低体温症を起こすことがあるため、周囲の人間が注意することが必要となります。

体の保温を心掛ける

登山をする場合や、寒冷地に行く際には、帽子や手袋、靴下やネックウォーマーなどを着用し、十分な保温を行いましょう。高齢者の場合は感覚が低下したり、病気の影響などで寒さを感知できないこともあるので、室温には十分に注意が必要です。

濡れたままで放置しない

災害時や事故、また豪雨などで体が濡れた状態のままでいると、急激に体温が奪われ、低体温症を引き起こします。これは冬の気温が低い中汗をかいた時も同様です。濡れた服を脱ぎ、体を拭くと同時に体を温め、衣服を乾かしましょう。またすぐに体を拭けるよう、着替えやタオルを常に用意しておくことも必要です。

冷たい場所を避ける

豪雨で体が濡れた状態で、冷房の効いた部屋に入る、また外の風に当たることも低体温症の原因となります。夏の暑い時期でも、体が冷えた場合は温めることを優先するようにしましょう。

低体温症を予防するには、体が冷えた時には体を温める食べ物や飲み物を積極的に摂ることも予防となります。アルコールは一時的には体温を上げますが、血管を拡張させることで、熱が拡散されてしまいます。また眠気を引き起こす薬を飲む際にも、寒い場所で寝入ってしまわないよう、十分に注意が必要です。